目から鱗の尺八上達術 −あなたの努力は報われていますか?−

【第2回】口の作り方(その1) 2010年2月(277)号

基礎とは何か?

 教則本を書く人の多くは、尺八の最終目標を「古典」に置いています。古典こそが尺八の特徴をふんだんに持っていて、その違いが流派の違いとなっているので当然です。ポップスや歌謡曲は古典に到達するまでの練習曲として扱われています。練習曲にも「将来古典で役立つように」メリカリを織り交ぜたり、いろいろに工夫されています。しかし、そういった「早く古典に近づくための訓練方法」が、実は「音を出す」という基礎的訓練の妨げになっている場合も少なくありません。
「音を出す」という基礎部分の充実がなければ、メリカリさえも難しく、ましてや「腹圧を高める」「吸気状態の保持」「口腔前庭」などは、何を言っているのかさえ理解できずにとんでもない誤解さえしてしまいます。
 「音を出すだけの練習」でいったい何が出来るのか?というと、私程度の演奏なら可能です。どの程度かは「遠TONE音」のCD等で是非確認してください。尺八の特徴と言われている「奏法」はほとんど使用していませんので、「尺八らしさも、流派の違いもまだ現れていない段階」であり、「尺八の基礎または初級課程」と言えます。その後、専門課程である古典に進むと、多くの教則本が面白いほど役立ち、「無駄なく」上達できるでしょう。

口からの呼吸

 基礎初級編では、尺八の特徴と言われている「顎によるメリカリ」はまだ練習しません。また呼吸については「口からの呼吸」を練習します。これは、尺八吹奏にあった口の形を速く作れるようになり、また、テンポを刻む曲に便利です。いろいろやってきたが上達しない、という方には「何もしない練習」になるかもしれません。
 さて、基本的に口はどうなっているのかを見てゆきます。写真@の一連の写真は、左から「口を開けて息を吸い」、次第に演奏状態になるまでの経緯です。でも、逆から見ると「わ」と発音するときに似ていませんか? 声を出して何度も「わ」と言ってみてください。「わ」の子音の部分の感覚をつかむと早いかもしれません。
 吹くものだからといって「フーッ」と「ふ」の形を作るのではなく、また、小さい孔を作ろうときつく締めているわけでもありません。実は最初から唇は普通に開いていて、そのままの状態(にしておくのが難しいですが)で息を吸い込むこともできます。これについてはまた後で説明します。今はこの口元の「真似」をしてみてください。
 写真Aは、よく見られる「良くない」例のひとつです。見比べてください。一番の違いは「歯が見えている」ことですね。歯が見えているということは唇の内側で歯が閉じられている(食いしばっている)ということです。これでは尺八吹奏に良いと言われる「ピンポン球や卵を口に入れたような」状態にはなりません。


 よい例のように「あ」と発音するときのように口を開けて息を吸い込み、ゆっくりと「わ」を発音する瞬間の形までを練習してください。できれば鏡を見ながら、歯が見え隠れしないか観察してください。歯が常に見えないようにするにはどうすべきかも実験してみてください。

 次回も口がどうなっているかについて、いろいろな角度からみてゆきます。