目から鱗の尺八上達術 −あなたの努力は報われていますか?−

【第3回】口の作り方(その2) 2010年3月(278)号

歯の隙間を開ける

 前回は唇の作り方を正面からの写真で説明しました。今回は横から見てみます。写真@は何もしていないとき、Aが吹いているときです。医学関係の顎と歯の図を重ねてみました。Bは2枚の写真をずらして重ねたものです。顎のラインを見比べてください。
 通常何もしていないときには、下の歯が上の歯の後ろに重なっている人が多いと思います。尺八を吹くときにはAのように上下で歯の位置をそろえて、しかも上下の隙間を大きく開けています。当然それに伴って唇も上下で位置がそろいます。


 歯の位置が大きく変化しましたから、鼻から下の長さがずいぶん長くなっています。これは前回の正面からの写真でもおわかりいただけたと思います。「口の中を大きく開ける」「卵やピンポン球を口に入れた」ような形を作るためには、このように見えないところで歯の隙間を開けることが、まず必要です。

息の進む方向

 次に空気を出しているとき(D)とそうでないとき(C)の写真です。唇のノズルは、空気を吐き出したときに圧力で唇の内側が押し出されて、初めて形になります。押し出されるだけではなく、写真のように唇が変形して薄くなります(※)。この薄くなった先端を結んだ線と直角方向に息は進みます(下図)。

  

※―このように体内の空気の圧力で唇が外側に押し出されて、歯と唇の間にわずかな隙間ができます、これを口腔前庭と呼んでいるようですが、これは「作る」のではなく、自然に「できる」ものですので、あえて唇と歯の間に空気を入れるような特殊奏法は、初歩的な段階では試みないようにしてください。初心者にはとても難しく唇のコントロールができなくなります。

 顔を壁に対して平行にした場合には、息の進む方向は水平よりほんの少し下向きです。その息に対して、歌口は写真Eのような位置関係になります。ごらんの通りノズルは歌口エッジの上に完全に出ています。空気はこのように尺八の外側を流れます。エッジの真ん中に空気の束が当たるような位置ではなく、また、管の中に空気が入るような位置では決してありません。

 外側に気流ができるので、内側の空気が外に引っ張られます。そうすると管内の気圧が低くなり元に戻る…という繰り返しがエアリードとなります。ただし、これはある程度の大きさの音の場合です、音が出始めるときや弱音のときには息は内側も通ります(これについては誌面に余裕があればそのうちに…)。
 尺八を下顎に当てているため、息を下向きにしたくなります。 いわゆる「カッパの口」(F)のようにして、 息を下向きにしている方が目立ちますが、間違いです。息はまっすぐ前に出しましょう。