目から鱗の尺八上達術 −あなたの努力は報われていますか?−

【第11回】技術編4 いろいろな指遣い(その1) 2010年11月(286)号

甲のロ

 皆さんは甲のロをどのような指遣いで出していますか? 図@のような指遣いはご存じですか?おそらくプロの演奏家でこれを使ったことのない人はいないでしょう。広く認知されている指遣いですが、これも教則本にはあまり出ていないようですね。

 管楽器は一定の音程を出しているとき、管内では空気の疎密が出来ています。密度の変化が最も激しいところを腹、変化がほとんどないところを節といいますが、歌口とそこから見て最初に開いている指孔のところが腹になり、その中間が節になります。
 尺八の第4孔は全長のほぼ半分のところに開あいているのがわかります。この孔を開けるとそこが腹になるような振動になりやすくなるので、筒音の丁度半分で共鳴する音になる、というのが大雑把な原理です(図A)。
 この4孔については、乙のロを吹いている最中に4孔を少し開けてみると、すぐに甲に移ることが確認できます。そのままでは絶対に乙に移ることはありません。甲のロを鳴らすには非常に安定した指遣いということでよく使われています。もし知らない方がいましたら、是非導入してみてください。

大甲のロ(ピ)

 さて、この原理をいろいろ応用してみましょう。
 第2孔は全長のおよそ4分の1のところにあります。第4孔と管尻の中間ですね(図B)。この孔を開けると、そこが腹になる振動が起こるはずです。その音は甲のロの更にオクターブ上が出るはずです。
 実際にやってみましょう。乙のロを吹いている最中に第2孔を開けるだけで、大甲のロ、すなわち「ピ」が簡単に出てしまいます。プロの演奏家はこんなことをしなくても体内の調整で難なくやってしまうのですが、使ってみると意外と便利なときもあり、私はたまに使います。
 便利ですが、この孔を開けると「ピ」が出るということは、ロを連打するために第2孔を使った場合、悠長に開けていると思わぬ音に移ってしまうということになります。経験ありませんか? なので、連打は素早く行わなければいけません。特に反応の良い楽器の場合、気をつける必要があります。

甲のツ・レ

 このように見てみると、第5孔は第1孔と歌口の中間辺りです。そうです、乙のツを吹いているときに第5孔を開けると(ほんの少しですよ)甲のツが楽々と出ます。  先ほどから「およそ」「辺り」という言葉を使っていますが、精密に半分の位置でなくても良いのです。ということで、乙のレも第5孔をほんの一瞬開けることでオクターブ上げることができます。