目から鱗の尺八上達術 −あなたの努力は報われていますか?−

【第25回】基礎的練習方法5 吹奏法、この3つを押さえれば! 2012年1月(300)号

 明けましておめでとうございます。そして、なんと、邦楽ジャーナルが今月300号なんですね。25年間毎月毎月休むことなく、いろいろな危機的な状況を乗り越えてよくやってきたものだと思います。おめでとうございます…と同時に本当にご苦労様でした。
 300号が皆様の手に渡るときには、また301号の準備が始まっていることでしょう。そして尺八コンクールも始めるようです。これからも邦楽界唯一の雑誌として、是非是非続けて行って下さい。

 さて、私のこの「目から鱗の尺八上達術」も25回目、3度目の正月を迎えます。いろいろなレベルの人がいるので、何処をターゲットにするのか、いつも迷うところです。でもやはり、どんなレベルにおいても共通で重要なことがあります。そこで年の初めは、「いろいろな重要事項を確認して上達につなげよう!」です。

確認その@ 腹式呼吸が出来ている?

 腹式呼吸が出来ない人はいない、ということは再三お話ししました。そうです、人間の基本性能ですから、出来ない人はいません。ただし、尺八を吹くときにその方法を利用しているかどうか、その辺は怪しい人が多いのです。
 「大丈夫かな?」と思う人はちょっと試して下さい。みぞおちからあばらに沿っているラインの下に指を差し込むようにして、呼吸をしてみて下さい。
@差し込んだ指を押し戻すように息を吸ったり吐いたりします。
A差し込んだ指をそのままで、息を吸ったり吐いたりします。
 両方やってみると、自分が普通尺八を吹くときにどっちだったか思い出すはずです。@が腹式です。このように差し込んだ指を押し戻すことをやるだけで、出来なかった腹式が出来るようになる人も少なくないので、是非試して下さい。演奏するときには差し込んだ指を押し出そうとしたことを意識して下さい。

確認そのA 甲の出し方は正しい?

 甲と乙で唇の緊張を変えていませんか?
 甲を出すときに唇を緊張させると、歌口と唇の関係が変化します。多くは緊張させることで歌口を押し当てることになるので、歌口開口面積を狭くしてしまい、ピッチが低くなります。「甲と乙でピッチが合わない」と修理に来た人のほとんどはこのような人です。レあたりで乙と甲のピッチを計ってみましょう。
 先に乙を出し、そのまま一息で連続して甲に移り、そのピッチを測定します。乙よりも甲が低い場合や、甲が乙よりもかけ離れて高い場合には、甲乙を唇の操作で変えている可能性がありますから、吹き方をよく観察してみましょう。唇の緊張が目で見えるほどに高めて甲を出している人は直しましょう。
 練習方法としては、甲の方が2倍くらいのブレスが必要だと思って、「確認@」で説明したあばらの下をグッと硬くする要領で、乙の状態から甲にしてみましょう。簡単に甲になるはずです。それが出来たら、乙から甲への変化をなるべく素早く、そして小さなブレスの変化でも出来るように練習します。唇のことは忘れましょう。

確認そのB 甲の出し方は正しい?

 尺八は歌口の開口面積でピッチが変化します。これを使った奏法がメリカリです。しかし、メリの状態が標準的な尺八の当て方になってしまっている人が多く見られます。
 一番多いのが下あごを引ききって吹いている人です。当然ノズルは下向きになりますから、エアリードを作ろうとすると、歌口開口部をほとんど塞ぐことになります。この状態はあごを引いてメルという立派な奏法のひとつです。このような人は是非メリの状態からニュートラルの状態に戻しましょう。
 方法は、現在あごを引ききっているので、上下の歯が揃う位置まで下あごを突き出します。その状態でブレスを前方に吹き出すようにして、尺八を当てる訓練からやらなければならないでしょう。
 次に多いのが、唇を歯に引きつけておく力が弱い人です。昔は口を横一文字に引っ張って堅い音を出していましたが、それはやり過ぎだ、ということで、最近は「口に力を入れない」という指導が主流になりました。
 しかし、全く入れないのではなく、ピッチと音量が最適になる程度には力が必要です。音もそこそこ出ているのにピッチが低い人は、唇の引きが弱く、唇が厚い感じで、歌口にメリ込んでいるような吹き方になっている場合が多いです。このような人は角度変化の割にピッチが変わりません。幾らカッた状態にしてもピッチが上がりません。
 対策としては、歌口と尺八の関係をそのままにして、唇のノズル部分を歯の方向に引き寄せてピッチを上げたり、逆に歌口方向につきだしてピッチを下げるような遊びをやってみて下さい。そのような奏法はあまり使わないかも知れませんが、唇の状態を調整する細かな能力が身につくことに損はありません。
 以上3点が問題なく出来て、楽譜通りに指を動かすことが出来ると、全くの棒吹きが、意外と上手に聞こえるはずです。まずはこの3点を押さえましょう!