【新】目から鱗の尺八上達術 −あなたの努力は報われていますか?−

【第2回】ぽかんと口を開けて息を吐く、これが基本! 2019年9月(392)号

 今回はこれまでの連載のおさらいです。初めて読む人にもわかりやすいように簡単に書いておきます。

息の向きは?

 何故尺八は鳴るのか? これは単純に物理現象です。この事実を知って理解することは音を出す方法を理解するためにとても重要なことです。
 上下の唇で出来たノズルから出た空気の流れが、歌口舌面に添って流れるときに(写真@)、空気の粘性という性質によって、歌口内部の空気が引っ張り出されます。しかし、歌口内部の気圧が下がるので、直ぐに戻ります。この繰り返しが、尺八の気柱に共鳴する周波数で繰り返されます。この現象をエアリードと言います。
 つまり空気をどこに向けてはき出せば良いのか?は写真@のとおりです。
 人間はロウソクを消したり、ゴミを吹き飛ばすことが出来ます。ロウソクの炎やゴミを顔の正面に位置するように体勢を整えたり、または対象物を手で適切な位置に持って行き、確実に対象物に空気を命中させることは、生まれてこの方何度もやってきました。その方向が写真@のような方向であり、私たちが最も得意とする息の向きなのです。
 初心者に教えるときには紙を顔の前に手でぶら下げて、紙を動かします。空気の量と勢いもそんなものです。音を出すために力はそんなに必要ありません。そうやって出来た空気の流れに尺八を合わせると、音は直ぐに出ます。
 先に尺八を渡してしまうと、どういうわけかほぼ100%、カッパのような口をして尺八をほぼ垂直に構えて思いっきり吹きます。一旦こうなってしまったら、なかなか修正できません。つまり、皆さんもそうなってしまっている可能性は非常に高いのです。

構え方は?

 よほどの事情がない限り、利き手を下にします。孔の数が上の手の方が3個、下が2個なので、数の多い方を利き手にする方が有利という人もいますが、利き手を下にしなければならないのは、それなりの理由があります。
 利き手には楽器を持って支えて、口元に上手く歌口を当てて音楽的に必要な様々なコントロールをするという大きな役割があります。それは孔の数3つと2つどころの差ではありません。おかしな苦労をしないためにもこれは絶対に守りましょう。
 親指と人差し指で挟んで尺八を支えますが、中指は第一関節を中心に巻き込むように面で支えます(写真A)。舌面がロウソクを吹き消すときの空気の流れに添うようにすると、尺八はその空気の流れよりも角度は下向きになります。譜面を見るような自然な視線にした場合、視野の下の方に尺八表面が見えている状態です。見えないようでは管尻を下げすぎ、尺八を立てすぎで、たぶんカッパの口です。

口の作り方は?

 尺八を吹く…という言葉から口を突き出ことを連想する人が少なくありません。また、なんとなくのイメージでカッパの口にしてみたり、頑張って息を出そうとして歯を食いしばって歯の隙間から息を出そうとするので、注意が必要です。
 まず、ぽかんと口を開けて、開けたまま息を吐きます。これが基本です。
 この状態では息はあっという間になくなってしまいます。息を吐きながら顎をゆっくり閉じていきます。唇同士が近づき、空気が細くまとまって出て行きます。まずはそれ以上に唇が変形するほどの力は入れないようにします。このときに出来た空気の流れに、尺八の歌口舌面を合わせて鳴るところを探ります。鳴ったらそこが歌口の落ち着く場所です。
 音楽には強弱や表情が必要になりますが、まずはこれが発音としての基本です。