【新】目から鱗の尺八上達術 −あなたの努力は報われていますか?−

【第3回】吸う状態で息を吐く! 2019年10月(393)号

 前号では簡単に基礎を学びました。今回は口をどう作り、どう吹くのか?についてです。

ストローを使って!

 初心者にもわかりやすく、なかなか上達できない人にも好評なのでストローを使った練習方法をご紹介します。
 ストローをくわえて息を吸った時の口や喉、唇の状態は上級者が尺八を吹いているときの状態によく似ています。尺八の吹き方の基礎をここから学ぶのが最も早道かもしれません。
 では簡単なので早速やってみましょう

 1、ストローを用意します。
 2、ストローをくわえて息を吸い込みます。
 3、そのときの状態を観察、記憶します。

中は広げている

 ストローから息を吸ってみると、口の中を広げていると思います。「息を吸う」とは体の中の気圧を外気より低くすることで外気が体の中に入ってくる現象ですが、低くなった気圧に耐えられるように、口の中を広めにして、頬の筋肉などを若干硬直させています。無意識のうちにこんなことを人間はやっています。
 この状態を「卵を口に一個入れたような」などと表現されてきたと思います。卵を入れたことを想像するよりも早道だろうと思います。
 写真はストローをくわえて息を吸っているときのものです。「ストローから息を吸う」ということの練習ではなく、あくまで尺八を吹く練習ですから唇は尺八を吹く時を想像しています、一文字と言えば一文字ですね。でも横に引っ張っている…というほどではありませんし、唇は突き出していません。
 息を吸うと唇は歯に張り付くような状態になりますので自然に任せています。よく見ると口の周りの筋肉はかなり緊張させています。力を入れないとか脱力した状態ではありません。しかし、唇のストローをくわえたところはストローを包み込んでストローと唇の境目からは空気が漏れないように柔軟です。その意味ではノズルとなる部分は脱力状態といえるかもしれません。ただ、その部分には筋肉が存在せず、力の入れられないところであり、その柔軟さを周りの筋肉で支えながら上手く利用しています。この状態をひと口に「横一文字に」とか「脱力して」と言ってしまうと理解できなくて当然です。

歯は開いている

 ストローをくわえてはいますが、歯で噛んでいるわけではありません。唇はストローを挟んでいますが、歯は開いているということです。尺八を吹く時に特に重要なのが、この唇と歯の関係ですが、この状態を直ぐに理解できるだけでもこのストロー練習法は有意義だと思います。
 ストローを挟む唇の力は、ストローの両脇から空気が漏れなければ良いので、吐く息の量に応じた強さで挟んでいます。大は小を兼ねると言わんばかりに意味なくギュッとストローを挟むではありません。

良し悪しを確認する

 写真では左手で何かしていますが、これは吸った時の状態を確認しているところです。この状態を保ったまま、ストローから息を吐きます。
 左で手で触っている部分が動かないようにしましょう。人間は息を吐くときには体内の圧力を外気よりも高めることで空気を外に出そうとしますので、体の中の容積を縮めようとします。口の中も縮めようとするので、そうならないように、つまり吸った時の状態を保つために写真のように手で筋肉の動きを確認します。
 「吸気状態の保持」という言葉もあるようですが、これはこのように吸った時の状態の保持ということで、息を吸いながら音を出すとか、非常に少ない息で爆音を出すというようなオカルト的なことを言っているわけではありません。音はあくまで声と同じように相応のエネルギーを使い、そのエネルギーの源はあくまでも単位時間当たりに吐き出された息の量でしかありません。