【新】目から鱗の尺八上達術 −あなたの努力は報われていますか?−

【第4回】吸う時も出す時も同じ顔! 2019年11月(394)号


 前回はストローから空気を吸い込んだ口腔内や顔の表情が、尺八演奏中の状態に非常によく似ているということを解説しました。これについての簡単な動画を作りましたのでご覧ください(https://youtu.be/Xp7nnaKQiqE)。QRコードも付けておきます。簡単に良い音が出せる一助になれば幸いです。

余計な動作をしない

 映像も見ていただけるとなおいっそう理解しやすいのですが、映像ではまずストローから息を吸ったままの状態で口の形や顔の表情を作ります。次にその状態(吸気状態)を保ちながら唇のノズルから空気を出します。空気を出している間に尺八を通常よりも下側に当てておき、徐々に適切なポジションに近づけて行きます。そして尺八が適切なポジションに来たときに音が出ることを確認しています。
 この映像では先に顔の状態を作ってから、尺八を口元にセットしています。音が出てからは、顔の表情や状態は変えていません。実はこのように実際に演奏しているときには、息を吸うときも音を出すときも顔の表情としてはほぼ同じ状態なのです。そしてもう一つ重要なのは、演奏のための表情は息を吸った時、その瞬間に作っているということです。
 演奏家は演奏を始めるときにも余計な動作がありません、口に尺八を当ててもじもじしたり、唇や歌口をなめたりせずに、息を吸う時に演奏に必要な顔の状態を作り、いつもの通りの位置に尺八を当てて、想像通りの確実な音を出します。先に必要な表情をいつもの通りに作るので、尺八を当てるべき「いつものところ」を確認することが出来る訳です。

口の開け方の違いで音を変える

 実際に演奏中は音を出して演奏することと、息を吸うことの繰り返しになります。演奏中の顔の状態はこの2つしかありません。しかも、この2つの状態は基本的な表情を作る筋肉などの状態が全く同じまま、口の開け方を変えているだけです。この口の開け方の違いはそのまま音の状態を変えるときに使われます。
 大きく強い音の場合には体内の気圧を上げ、それに応じて開け方を小さくする方向になり、弱い音では、弱い気圧に対応するように開け方を広くするようなイメージになります。体内気圧とのバランスを取っているので、見た目には開け方は変わっているようには見えませんが、これは作用と反作用の関係です。息を吸うときにもこの調整機能を使って口の開口面積を大きくしているだけです。
 息を吸うために口を大きく開けても上唇の状態も下あごの尺八を当てているところの状態も変えていないので尺八のポジションが変化することはなく、再び口の開け方を演奏状態にしても全く同じように音が出るのです。

鼻から息を吸わない

 よくある間違いは、なるべく楽器を動かしたくないという意識から、唇を動かして息を吸ったり、鼻から息を吸うことです。結局は唇を動かすので、そのたびに尺八の位置はずれてしまいます。
 鼻から息を吸うには口からの空気の流入を阻止する要があり、そのためには口を閉じるか、舌で閉じるしかありません。閉じた口はまた開けなければならず、音を出すこと、息を吸うことの2つ以外に、もう一つの動作を付け加えなければならず、それは無駄です。
 舌で閉じると口の中を狭くする必要があります。これも演奏中には不必要な動作で、結局は不安定な演奏になります。
 いつも同じ表情を作れるからいつものところに尺八を当てられる――おそらくこれ以上に確実な方法はないので、練習においてもこれを意識してください。