【新】目から鱗の尺八上達術 −あなたの努力は報われていますか?−

【第5回】唇にストローをくわえる小さな孔を 2019年12月(395)号


 前回はストローを使った簡単な練習方法を紹介しました。今回もストローを使って口のコントロールがどのようなものなのかを体験してみます。(尺八の教則法には基本的な音の出し方が充実していないと感じるため、しつこいようですがもう少し書かせていただきます)

1、ストローをくわえる力の訓練。
 軽くくわえてストローから息を吸ったり吐いたりする。吸うときの顔の状態を保つ。あまり過度にストローを挟まない。

2、ストローから息を吐きながらストローを抜いても同じように空気が出せる訓練。
 空気は目に見えませんが、ストローは吐きだしている空気を可視化したものといえます。ストローがなくても実際の空気の束を唇で挟んでいます。この場合、空気に形はありませんから唇で作られる孔の形は変わってしまいますが、吐き出される抵抗感が同じであればストローの断面と同じ面積であるはずです。
 ストローから空気を出しながら、手でストローを引き抜きます。必要以上に力を入れてストローを挟んでいると、ストローがなくなったとたんに唇が閉じてしまい空気が出なくなってしまいます。また、ストローがなくなることを知っているので、息を出すことを止めてしまう人もいます。息はずーっと吐きだしたまま、唇の状態もそのままストローを引き抜き、息もそのままで続ける訓練です。

3、ストローなしでこれらをやってみるとどうなるのか?
 が出来たら、唇のコントロールは出来たようなものですので、確認です。ストローがなくてもストローをくわえているように唇の小さな孔から息を吸い込んだり出したり出来ますか?
 ストローの場合には息を吸っても吐いても空気の出にくさ(抵抗感)は同じです。ストローなしでもそのときの感覚のように抵抗感を同じにしておきます、つまり唇で作った孔を吸うとき変化させないようにします。どうしても吸うときには楽に吸いたいのでつい大きめに口を開けてしまい、吐くときに狭くしてしまいがちです、その辺に注意してやってみてください。
 この訓練は体の自然な反応に逆らって、唇で出来た孔の大きさを一定にする、コントロールの訓練です。

4、息を出し入れせずに唇に小さな孔を作ってみる。そしてその孔の大きさを変化させてみる。
 ストローをくわえれば形があるものを挟むので力任せに挟んでもストローがつぶれない限り、口にはストローの断面と同じ孔が開いていることになります。また、ストローがなくても空気を出す力が唇を閉じる力を上回れば孔が開くでしょう。
 唇を閉じる力と息を出す力のバランスで唇に小さな孔が出来るのですが、もしも空気が出てこなくてもこの孔の維持が出来ないと最弱音は難しいことになります。

音の時間的変化について

 音の出だしは常に一定ではありません。鋭い立ち上がりで音を出すときもあります。逆に息を出しはするけれど、音が出ていない状態から次第に音になるような出だしもあります。そしてその間には様々な音の出だしのあり方(音の立ち上がり方)が存在します。
 息を出し始めて音が生まれ目的の音量に達するまでの部分、つまり「立ち上がり」部分(アタック)、目的の音量に達してから音を切るまでの部分(シンセサイザー用語ではディケイとサスティーン)、そして音の切り方(リリース)の大きく3つの部分に分けて考えることが出来ます。これらをこれから説明していきたいと思います。